娘が学校に行かなくなった話⑤の続き
2月の寒い夜
娘は出て行ったきり帰ってこなかった。
大体この時間に行けるところなんて限られている。
心当たりが1軒あったが、
もしかしてマンションの下や店の前で凍えているかもとも思い
あたりをひとしきり探してみた。
見つからなかったのでおそらくそこだろう。
翌日案の定
そこからお電話をいただいた。
娘さんはうちにおりますよ、
ご心配されてるでしょうからお知らせだけしときますね、
うちは全然構いませんから少し娘さんが落ち着くまでお預かりしときます、
とのことだった。
あたしは恐縮してお詫びとお礼を繰り返すばかり。
落ち着くまで、と言われたのは
泣きながらそこを頼ったのかなぁ、
そう思うと少し胸が痛んだ。
実は娘をたたき出すほど怒ったのかと言うと
そうではなかった。
怒りが解決することなど一つもないというのが持論のあたしは
子どもを叱ったこともなければ
声を荒げたこともなかった。
それはうちの父親もそうであり
あたしは父に怒られた記憶もなく
思春期の頃はだんだん態度が悪くなり反抗期を迎えたのだ。
そんな思いのあるあたしは
一度でいいから子どもたちに
うちの母親も怒るんだなぁ、というところを見せたかった。
それがいいか悪いか分からんのやけど。。。
娘はそのままそこに2泊お邪魔したので
3日目に菓子折を持ってお礼に行き
「いつまでもよそ様のお宅にお邪魔したままではいけないので
帰ってきなさい。」
と伝言をお願いした。
娘はその夜すんなり帰ってきたが
今度は部屋に閉じこもったまま一歩も出てこなかった。
続く