娘が学校に行かなくなった話⑨の続き
入学式の日。
まさか2度も高校の入学式に行くなんてと思いながら
娘とたまにはJRも悪くない。
会場に到着してまずは新入生の多さに驚いた。
北九州や筑豊、福岡都市圏から筑後地区まで
県内各地からの新入生343名が入学するとのこと。
会場にお見えの親御さんたちも
いろいろな思いを抱えここにいらっしゃるのかも、と思うと
みんなが他人じゃない気がする。
入学式はあっさりしたものであったけれど
校長先生が式辞を述べられた。
「本日は誠におめでとうございます。
いろいろな事情を持ち本校へ入学された方もいるかもしれません。
今日の晴れの日を迎えられたのは
生徒自身の学びへの強い思いによるものが大でありますが、
保護者の皆様の支えがあってこそのものがあり
本日の感慨もいかばかりかと拝察いたします。」
この言葉を聞いたら
なぜかあたしは
どばどばーーっと涙が出て。
そんなにしんみりする場面でもないのに
涙がとまらなくて。
娘がこの学校に迎えられた喜びと
そしてあたし達親の支えもねぎらいをいただいた気がして
あたしは感動して。
いろいろな今までの数カ月が報われたような。
これでよかったんだと
校長先生に言っていただいたような。
不思議な気持ちに満たされた。
もしかしたら
今日は
この言葉を聞くために
娘が
あたしをこの場に導いてくれたのかもしれないと胸が熱くなった。
「私ども教職員一同、新入生の皆さんを心から歓迎するとともに
大切なお子様をお預かりする責任の重さを改めて感じているところでございます。」
そうだ。
娘はここで学ばせていただくのだ。
あたしの視界はぱあっと明るくなった。
娘よ
前に進め。
自分で選んだ道を
しっかりと進んでいくのよ!